山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

今期アニメ 2019冬「どろろ」編

アニメというのは、いざ蓋を開けてみないとその魅力がわからないってのが、本当に楽しいですな(唐突)
「うーん、これは一体どーなんだろうなー」と第一回放送分ではワシが首を傾げるようなアニメでも(例「けものフレンズ」)後々大化けして、最終回を迎える頃にはワシが感動の涙を流してたりするんですから、本当にわからないものなのです。

今期アニメの注目株は「どろろ」だったんですけどね。
第一回を見る限りでは、、「うーん、どうなんだろうねえ」な感じでしたが。
アクションシーンとかはすごく頑張ってた。
主役「百鬼丸」のとーちゃんの造形がまるっきりマッチゲちゃんこと松重豊なのは、「まー本当にどーなんだろうねえ」な感じでしたが。
一番訝しく思ったのは、演出が…下手。
この一言に尽きます。

「昔のどろろはもっと演出が気が利いてた気がする…」と思いつつ確認するワシ。
ワシが子供の頃に見てた最初にアニメ化された「どろろ」(1969年版)は演出が異様にかっこよかった記憶があるんですよ。
いいですな、今は確認する方法がすぐにあって!(^_^;)↓

Dororo To Hyakkimaru - Episode 01 - Eng sub


改めて見直したら、この第一回の短い時間の中でどろろが泥棒する理由もちゃんと語られているし、時代背景もちゃんと描かれている。
戦中戦後の飢餓を知る世代の人が制作しているだけあって「飢えている」表現が半端ない。
当時のアメリカンニューシネマの影響なのか、ニヒルな視線で「現実」(あくまでも創作物中での「現実」ですが)を捉えようとする、描こうとする視線に貫かれてて素晴らしいんですな。

脚本、劇伴(冨田勲!!)の素晴らしさもさることながら、やはりクレバーでシャープな演出(出崎統!!)が光ります。
その演出の傾向は、溝口健二黒澤明など、その当時、世界中から評価されてた日本の名監督の手法をなぞるような場面も見られて本当に見ごたえがあります。
旧作の橋の倒壊シーンとか。まさにアニメ本来の、「命のないものが動いて生命が吹き込まれる瞬間のダイナミズムズ」にあふれてて素晴らしいです。

…旧作がこれだけ素晴らしいのに。なんで今、リメイクしようと思ったんだろう…