山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「GONIN サーガ」

びっくりよー。無料動画配信のGyaOにて「GONIN サーガ」が配信されてました(2月11日まで)
知ってる人は知ってますが。ワシ、1990年くらいから2000年頃までの石井隆作品が大好きなんですね。
石井隆といえば、1980年代にはエロ漫画家として一世を風靡し、その後、自作の漫画を映画化する(もともと映画畑の人だったんですけどね)という形で映画界に監督としてデビューし数々の賞をとった監督であります。

暴力とセックス、金と殺人にまつわる物語が、独特のタッチでクールに描かれるさまがとても好きでして。
その中でも「GONIN」(1995年)はベストフェイバリットな一本であります。

その映画「GONIN」の正式な続編が「GONIN サーガ」として2015年に制作されたわけです。
映画「GONIN」での主人公の一人、汚職刑事で大越組襲撃に参加した唯一の生き残りの「氷頭」を演じた根津甚八が、この「GONIN サーガ」にも出てきます。

根津甚八は2004年に起こした交通事故をきっかけにうつ病を発症し、俳優業はほぼ引退状態で、人前に出ることもなかったのですが。
この「GONIN サーガ」に2015年に出演し、その一年後に肺炎でなくなってしまいます。
つまり、この「GONIN サーガ」が根津甚八の遺作になってしまったんですね。

ワシは高校生の頃にテレビが嫌いでw
ほぼテレビを見ない生活を送っていたのですが、たまたま土曜日の午後の再放送で見た大河ドラマ黄金の日日」(市川森一脚本)が気に入ってしまって、これだけは毎週見てたんですね。
その中で根津甚八は大泥棒で豊臣秀吉の命を狙う「石川五右衛門」を演じてて。
それがものすごくかっこ良かったんですねえ。劇中の衣装も白土三平の「カムイ」みたいで良かった。
黄金の日日」は未だにベストフェイバリット大河ですw

で。
その根津甚八のために作られた映画だとしか見えませんでした>「GONIN サーガ」
石井隆から根津甚八への最後のプレゼント。
根津甚八という俳優が居たのだと、フィルムに残すための作品に見えました。

だから話はしっちゃかめっちゃかでもう「雰囲気」しか残ってません。
「GONIN」にあった、一つの時代(バブル)の終焉とその熱狂の残り滓を灰になるまで燃やしつくそうとする情熱ももう何処にもありません。
あるのは法に外れた男女への鎮魂歌だけ。

でも唯一、ここに書いておきたいのは井上晴美の演技ですよ。
井上晴美と言えば、熊本出身の女優で、阿蘇かどっかで自給自足の生活を子供と一緒にやっている様子をテレビでお見かけしたことがあるような…

でもこの映画での井上晴美はまさに「石井隆ガールズ」なんですよ。
酒と欲にまみれてギラギラと怨みを燃やしながら子供が成人してても全然女を捨ててない!みたいな、全身ラメラメのボディコンミニワンピで酔いどれながら闊歩します!みたいな。
そんなキャラを見事に演じております。