山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「ラブリーボーン」

「ネトフリで見たことのない映画を見てみよう!」強化月間次のお題は「ピージャク」ことピーター・ジャクソン監督の奇作「ラブリーボーン」(2009年)だあー!!

意欲作「ロード・オブ・ザ・リング」でアカデミー賞をたんまり山ほどもらったピージャク監督が、児童文学を原作に撮った異様な作品でして…
なんで「異様」かと言うと、劇場で予告編を見て「これはだめだ…」と思ったからに他ならないんですねw
ではその「コレはだめだ」と思った予告編を見ていただきましょう↓

映画『ラブリーボーン』予告編


映画の分類ってあまり意味がないんですけどね(面白けりゃなんだっていいじゃないの教信者)
この映画は本当に困ります。だって「頭がアレ」な世界なんですもの。宗教っぽいっつ〜かなんつーか。
正直言ってこの「ラブリーボーン」の映画的な立ち位置に、一番近いのは丹波哲郎の「大霊界」な気がするんですもの…



宗教も国も超えて、「死後の世界」のイメージが一様にこの「アレな感じ」なのは一体どういうことなんでしょうかね…
しかもこのラブリーボーンってタイトルも気味が悪いけど、これを物語中でプラスな意味で使っているのもこれまた気味が悪いんです。
しかも全然事件は解決しないし(それなら巨匠ベルイマンが父親の幽霊に向かって「幽霊で何も出来ないくせにウロチョロ出てくんじゃねえよ!!」と子役に言わせた「ファニーとアレクサンデル」の方がよほど誠意ある対応に感じますよ)

Fanny e Alexander Trailer

※「ファニーとアレクサンデル」は初めて見たときから今までの人生で常に「好きな映画」の上位にいる大傑作であります

この「ラブリーボーン」の中で、主人公が「思い残したもの」も結構気味が悪いけど、天国と地上にあいだのあやふやな世界で漂っている仲間の少女たちも相当気味が悪いです。
宮崎勤に殺されて、彼の夢の中に出てきた「私達を殺してくれてありがとう」とお礼を言いに来るガールズに近い印象で胸糞です。
前半の冗長な部分や気持ちの悪い霊界シーンをバッサリとカットして、サスペンスフルに犯罪アクション映画として撮ったほうが良かったのでは?うすっぺらい宗教観とか型枠通りの少女の夢とか見てて単純に気持ち悪いんですもの。

ただ、この「ラブリーボーン」には唯一、いい点が有りまして。
なにげにBGMを聞いててワシの顔色が変わったんですなw
「こ、コレはAnother Green Worldじゃね!?」とね。
調べたらビンゴ。音楽担当がブライアン・イーノでしたw

Brian Eno Another Green World Full album vinyl LP


お父さんのボトルシップが岸壁にぶつかるシーンとか、犯人とのかけひきのサスペンスとか見どころがあるにはあるんですが。
いかんせん…かーちゃんが家族をおいて遁走するのが決定的に無理。
原作がだめなんだろうな…と思いつつ同情の眼差しで見てましたが…

思い出してよ、ピージャク監督はかつて「乙女の祈り」という大名作をとった監督なのに。