山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「アリスのままで」

Netflixで見た映画の備忘録です。
お題はコチラ↓

「アリスのままで」(2015年 ジュリアン・ムーア アメリカ)

言語学者としての名声や地位も十分に得て、なおかつ家庭人としても愛する夫と三人の素晴らしい子供たち囲まれて幸せいっぱいに生きてきた主人公アリス(ジュリアン・ムーア)が、自分に記憶障害が出始めていることに気が付き、若年性アルツハイマー病との診断をくだされてその病状が進んでいく様子を描いた映画です。

知らなかったんですけど、この映画、監督自身が筋萎縮性側索硬化症の病状悪化しつつの闘病の中で作られた映画だったんですね。
見どころは…ジュリアン・ムーアの演技とアメリカの知識層の素敵な生活_くらいしか無いんですがw
ジュリアン・ムーアの演技が本当に見事で、アカデミー賞主演女優賞もやんぬるかなであります。

治る病気ではないし、しかも病気は着実に進行してゆく。
本人は「自分の人生はキレイに幕を引きたい」と思っててもそれもなかなかかなわない。
調子が良い日もあれば悪い日もある。
それを冷徹なまでに、どすっぴんで完璧に演じるジュリアン・ムーアの見事さよ。数少ないハリウッド女優で好きな人の一人です。

タイトルは「アリスのままで」なんですけど。
輝きも消え失せて、化石みたいな存在になってもなお、アリスにはきらめく内面がちゃんとまだ有る_みたいな話にしたかったんでしょうけど。
病気が病気なだけに、基本的に「救いはない」です。
感動的なシーンですら、
「これは本人が思ったことじゃなくて機械的に相手に合わせて適当なことを言っているという可能性もありだな」
と、思う程度にワシは大人です(^_^;)
だって若年性アルツハイマーってそんな病気じゃないですか。

以前、ボランティアで通ってた施設にも何人かこの病気の方がいらして。
全然まだ、「初老」とも呼べない年齢の、見た目は若々しい健康そうな人が、着実に壊れていくのを間近で見たことが有るので…そのあたりの感想はどうしてもごにょごにょ。

でもびっくりしたのは、アメリカ人てこういう病気に家族がなった場合、自分のキャリアを優先させるんですね。
そこが一番の衝撃でした。
しかも「愛している」と言いつつ、アルツハイマーの配偶者を置いて一人で遠くに行っちゃうんですよ!
この辺りのドライさというか、クールさは…日本人には無い気がしました。

原作があるみたいですけどどんな感じなんでしょうね。
アルジャーノンに花束を」みたいなのか、もしくは「バイオハザード」(の「かゆ…うま…」ってアレ)なのか。
でもま、自分自身がそうなったらどうなのか…というと、「そんなに悪くはない」って気がしました。変わり果てて最後は植物みたいになったまま生きてやがて死を迎える。
そういう人生の終わり方をしている人はたくさんいますし。
家族は地獄でしょうけどね。