山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「グランド・マスター」

BSプレミアムでやってたんで録画して見てみました2013年ウォン・カーウァイ監督作品「グランド・マスター」
なんとブルース・リーの師匠、カンフーの達人だったイップ・マンに題材を取った映画でございます。

なんでしょうなあ…一言で言えば、チャン・ツィイー(大陸)も出ているしチャン・チェン(台湾)も出ているし。主演にトニー・レオン(香港)も出てて、「すわ、大陸横断中華スター夢の共演か!?」な映画なんですけど。
はい、普通にウォン・カーウァイ映画でした。

ウォン・カーウァイ、ワシが同世代人として東で一番シンパシーを感じる監督さんです。

カンフー映画と言うにはあまりにも耽美的。
歴史を描いた映画かというと、日本軍悪者的描き方は「中共になんか言われたんだろうな」とお察し出来る程度の登場具合。

話の本編はカンフーの天才イップ・マンが苦労しながら戦争を乗り越えて香港で道場を開き、ブルース・リー(子供)を弟子にするまでのお話が語られて、同時にチャン・ツィイー演じる宮家の跡取り女武闘家・若梅が父の仇に復讐する話が語られます。

この二つの物語は交わることなく、なんとなく「あ。若梅はイップが好きなのね」とほんのりと片思いを匂わせて(ただここでウォン・カーウァイ監督がすごいのは、若梅がイップを好きになる瞬間をちゃんと見せてくれている所)、二人はプラトニックなままで時間だけが過ぎゆく様子が語られます。
その中でワシがすごく感動したのは最後の方の若梅の告白のシーンでした。

人生は後悔ばかりで思い通りにならない事だらけで残念だけど、悔いのない人生なんて味気ない。
わたしはあなたが好き。
好きというだけでそれ以上、どうこうなりたいってわけじゃない。
好きでいるって事に罪はないわ。
秘密にしてくつもりだったけどあなたに会ったらつい言ってしまった。


この部分にワシは強烈感動しちゃったんですね。
そうなんですよ、まさにその通りなんですよ。
「やっぱ、ウォン・カーウァイはワシの気持ちがよーーくわかってくれているのお」(*^^*)←妄想


※百両ぐらい客車を引いている満鉄の蒸気機関車の横で父のかたきを討つレプリカント・ツィイー(コートのデザインが「ブレードランナー」のレイチェルそっくりなのでそう見える)


※何故か三船敏郎そっくりなお父様。
映画中も「椿三十郎」のセリフが出てくるので、この映画、実は黒澤明監督リスペクト&オマージュ映画だと感じた


トニー・レオン、八の字眉毛でおちょぼ口でカンフーやります


※ワシが大好きチャン・チェン(真ん中座っている人)は本編には関係のない話で出てきます。白薔薇理髪店は男の秘密の匂いw