山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「この世界の片隅に」

本当にコレが素晴らしい映画でして。
2016年に見るべきアニメ映画は「この世界の片隅に」だったんですね!(≧∇≦)b
ワシは先に「君の名は。」を見てしもうて、このバカバカバカバカ(ぽかすかぽかすか)←ちょっとしたこうの史代(原作者)的表現の剽窃

映画『この世界の片隅に』予告編



とにかく、自然天然の表現が素晴らしい!
これは日本人にしか表現できない手法だと感じましたよ。
戦前までの日本に連綿と続く江戸時代から続いてきたと思われる風習風俗の数々。
砂利船に乗せてもらって礼儀正しい挨拶をする子供。
引き潮になれば歩いて海を渡る人々。
薪の火付け用の木っ端(松葉)を拾いに行けば、その籠の一番上にそっと添えられた赤い椿の花の恋心。
食事の時間が迫れば、各家庭に煮炊きの煙が上がり、その噴煙の上がる様子や、「縄文時代の竪穴式住居や!」と思わず叫ぶワシ。

実はワシ、原作があんまり好きじゃなくて(^_^;)
アクション連載だったって事もあるんだろうけど、赤線の女性「りん」と旦那のかかわり合いに割りと話がクローズアップされてた気がするんですけど…
映画はそのあたりを思いっきり端折ってあって、旦那から貰ったノートの裏表紙が一部欠けている_という理由をエンディングでちらっと見せるだけの演出になってて高感度バク上がりですよW

内容も、泣くより声を上げて笑っちゃう場面が多かったですね。
最後まで見ての感想は「庶民って力強い」でした。

どんなに大切なものを失っても。イノセントさを失っても。
人生は続く。日々は続く。
その中で精一杯生きること。その素晴らしさを伝えてくれる映画です。希望に満ちて終わる終わり方もとてもいい。
もっと反戦映画ヒバクシャ映画を予想してたら、全く違いました。
広島と呉。
その二つの街が主人公の映画です。過ぎ去った時代の美しい懐かしい街の思い出。そこを行き交う人々の面影、記憶…

異様なまでのロングラン上映で知られるこのアニメ映画ですが、それも納得。
原爆が広島に落ちるシーンはスピルバーグ監督の「太陽の帝国」のソレより良いですよ。必見。