山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「アポロンの地獄」

少し前に見た映画「薔薇の葬列」(ピーター主演)の元ネタになった映画がGyaO!で無料配信されてたので見てみました。
監督は「あの」怪しい死に方をした奇っ怪なイタリア人映画監督パオロ・パゾリーニですよ。

「うーん、今の時代にパゾリーニってどーなんだろう?」と半分怪しみつつ鑑賞しました。

お話のモチーフは有名なギリシャ悲劇「オイディープス(王)」が元になっております。
不吉な予言を受けたために荒れ地に捨てられた赤ん坊の王子が、なんやかんやあって(大雑把な割愛)結局はその不吉な予言通りに、自分の父を殺し(そうとは知らずに)自分の母を娶り(そうとは知らずに)
その事実を知った時に、自ら目を潰し、王としての身分を捨てて物乞いとして荒れ地へと出てゆく__という有名なお話です。

まず、ビックリしたのがシルヴァーナ・マンガーノの美しさ!
「にがい米」を見たときは脇毛に目が言って美貌に気が付きませんでした…
「ベニスに死す」ではビヨルン・アンドレセンの美貌に目が行ってて、正直、そのお母様役の美貌に目が行ってませんでした…ごめんなさい(´・ω・`)
 
眉毛が無いんですけど、凄絶なまでの美しさでびっくりしました。

それと風景と音楽に驚かされます。
風景はモロッコとか北アフリカみたいですね。
旧約聖書の世界みたいな風景が広がります。
そしてそこに流れる何故か邦楽(お能の音楽みたいな)
「なんだろう、溝口健二リスペクトかな」とか思いつつ見てましたがw
思いの外、楽しんで最後まで見ちゃいました。
21世紀にはもうパゾリーニは無理かも知んないと思ってたのですがね、意外や意外…(゜_゜)
原作の力強さのおかげでしょうかしらね…
ギリシャ悲劇の時代と19世紀?のイタリア、1960年代のイタリアを行き来するのも興味深かったです。