山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

黒い家に悲鳴を上げる

友人も無事にスキー旅行から帰ってきて、ワシのペットシッター前半戦も無事終了しました。
数日のインターバルを置いてまた後半戦が始まるんですけどね(今度は友人は夫とヒマラヤで高地トレッキングらしい)

そのペットシッター最終日に、山の中で車を運転してて。
フト、思い出したんですよ↓

「あれ?そういえば。この辺りにギャラリーがあったはずだよね??結構大きい建物で目立つデザインだったはずなのに、それがなくなっているってどゆこと!?」
とね。

あんなに大きい目立つデザインの建造物が全然見えなくなるって変な話だよな?と、本当に唐突に思い出したんですよ。
この山道は友人宅へ行くのに一番の近道なんですけど、実は何日か前に「そうだ、近道があったよね」とチャレンジしてみたら、見事道に迷ってですね(苦笑)
10kmほど山の中を右往左往してやっと帰ったって事がございましたの。ヲホホホホ…

で。その「道に迷った理由」が、目印だった建物がなくなっていたことと、新しい家が数軒立ってて、目印がわからなくなっていたから_だったんですね。

その目印の一つが、このギャラリーだったんですよ。
いわゆる「インターナショナル・スタイル」みたいな?コルビジェ風な(良く言いすぎかしら)ギャラリーがあったはずなんですよ。

確かこのギャラリーが落成した時も大掛かりなパーティーがあってて。
お客さんも沢山きてて。
当時、友人も「ご近所さん」て事でこのギャラリーに招待されて。
前衛美術専門のギャラリーだったとかで。「何が何やら全然わからん」と後で友人が言ってて笑った記憶があるんですな。

うちを設計したカームラ氏の知り合いが設計したギャラリーだったはず。
物凄いストイックなデザインで。
黒い四角い箱とグレイの箱が組み合わさったようなデザインだったような。

と、山道を下りながら思い出してて。
あるカーブまで差し掛かった時に、

「そう、ここよ。ここにギャラリーが立ってたはずなのよ」

と思い出して、そのカーブで車を止めて。
そのギャラリーが立ってた場所に目を凝らして〈●〉〈●〉ジーーーーーーっと見てたらですね。
茂り放題に茂った荒れ果てた竹林の奥に…
黒い家のシルエットが見えたんですよ。ぎゃああああああああああああああああああああああああああ

そのカーブ沿いの敷地に立派な家が、竹ボウボウに取り囲まれて、無残な廃屋姿になって佇んでいたのです。
1階の正面アプローチも黒い影に覆い尽くされてて、全く見えない。確か素敵なアプローチがあったはずなのに、影も形も見えない。2階に直接繋がる坂の上からのグレーチングで出来たブリッジも、今や生い茂る竹に隠されて、目を凝らさないと見えない。
すべてが竹に覆われてて、もう何が何やら…家の形も、人が住んでいた面影も全部覆い尽くされてました。
ワシが毎日この家の前を通りながら、家の存在に気が付かなかったのはやむなしな状態ですよ。
立派な別荘兼ギャラリーは、今は無残な象の死体のように竹やぶの中で、ひっそりとうずくまっておりました。

思わずハンドルを握りしめたままで「ひょええええええええええええ」と細い悲鳴が口から漏れました。
諸行無常、ここまで荒れ果てるがままにされているということは…よほどなことがあったんでしょうね…

有名な廃墟ホテルだった串崎ケープホテル(※現在は解体撤去済み)は白日のもとに晒されてたので、廃墟とは言え、妙に明るい印象でしたが。
ココは…イケマセン。色々とイケマセンな印象しかなかったです(◎_◎;)