山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

ヴィオレッタ

こんな映画があると知って、ちょっと見てみました。
字幕なし!全編フランス語!!ギャー

それはこの映画です→「ヴィオレッタ」

監督はかつて世界を席巻したロリータモデルのエヴァ・イオネスコですわ。
自分の子供時代を元にした長編映画を作った_と風のうわさには知っていたのですが。
なるほど、2014年に撮ってたんですね。

英語のタイトルは「My Little Princess」と言います。

エヴァのことはなんとなーくリアルタイムで知ってて(エヴァは1965年生まれ)
1970年代の終わりの方は、彼女の主演作品「思春の森」にインスパイアされたとおぼしき作品が雨後の筍のようにうにょうにょと存在しておりました。
思春の森」は、今はもう見ることが出来ない映画ですね。見ると手が後ろに回ります(^_^;)ワシも未見だけど、お噂はかねがね。

最後にエヴァ本人をリアルタイムで見かけたのは大学時代、写真家のピエールとジル(Pierre et Gilles)の写真集で。
だったでしょうか(今、ぐぐったら1981年作品だった)

彼女は成人後、「私の子供時代は実の母によって奪われた」と裁判を起こし、勝ってます。
自分を人形のように飾り立てて、ヌードすらも思うがままに撮影した母への愛憎半ばする不思議な関係(エヴァ本人は「一番尊敬する人は母」とも言っている)です。

フランスの裁判所が下した判決は「損害賠償として娘に1万ユーロ(約11万円)払うこと」と「全写真作品のネガフィルムを渡すこと」でした。
うーん、大岡裁き

しかしこの映画「ヴィオレッタ」を見て、ちょっと印象が変わりましたね。
自身の母に寄ってすり潰された子供時代を元にした映画ですが。
母も食べるために必死だったのが伺えました。
(もちろん、今でも我が子を児童ポルノに売る親は存在しますが)

モデルの仕事のせいでエヴァは売春婦のような服装と化粧をするようになり、普通のこどもから逸脱して行って、浮いた存在になり、果ては学校でいじめられるシーンとか。


ロンドンに招かれて、シド・ヴィシャスの邸宅で、シドからお姫様のように扱われるシーンとか。


経験した当事者でなければ描けないようなシーンが面白かったですね。
ただ、主演のエヴァを演じる女の子が美少女すぎる(エヴァは美少女とは言いがたかった。言い知れぬ妖しい雰囲気はあったが)のが気になりましたが(^_^;)

映画としては拙い出来ですが。
当事者ならではの視線が、新鮮で迫力があり、面白かったです。
しかし、この映画の結末は…事実なんでしょうか。
とても恐ろしい結末で、エヴァの母もまた家族の犠牲者だった事が示唆されます。