山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

障害があるという事

10年位前から知っている身障者の女性がお子さんをご出産なさいまして。
この方、すごい美人でとても明るくてきさくで感じが良い方で。
学生の頃から付き合っている健常者の彼氏ともすごく仲が良くて。
「微笑ましいなあ」と思いながら見ていたのです。

その彼とこの女性はその後結婚なさって、今回赤ちゃんが生まれたと。
彼女の障害は「下肢が動かない」というもので、子供の頃から車いす生活なんですね。
「でもあの彼氏なら出産後も色々助けてくれるだろう」と思っていたら。

周り中が心配していた、「障害が遺伝するのではないか」という危惧が現実になってしまいまして。
赤ちゃんがまるで足が動かないらしいんですね。
立てなくて這いずりしか出来ないらしく、それがショックで、彼女はとても落ち込んでいるらしいと。伝え聞きました。

以前、この日記に書いたことがあるんですけど。
ワシ、会社員時代、仕事を抜けだしてはしょっちゅう、会社の倉庫に遊びに行ってたんですね。
そこで知り合ったのが自社便のトラックドライバーのおじちゃん。

足が奇妙な方向に曲がっているのですが、体重を移動しながらガックンガックンと激しく上下しながら杖なしでガシガシ歩くお方でした。
色々話していると、そのおじちゃんは小学校低学年まで立てなくて這いずりまわる生活だった事を教えてもらいました。
自分で「このままじゃいけない」と思って、動かない足を自分で抱え持って毎日ガシガシ動かして、小学校を卒業する頃には自分で立てるようになった事_なんかを教えてくれました。

「すごい努力の人だな!」と当時、若かったワシはすごく驚いたのをよく覚えております。

もう一つ、障害を持つ人のお話を。
知り合いの知り合いに全盲のご夫婦が居て。
結婚した当初、「子供を持ってはいけない」と親戚中から言われて驚いたそうです。

「もし目が見えないのが遺伝して全盲の子供が生まれたらどうするんだ」「不幸だろう?」と親御さんまでが言い募るのだそうで。
(じゃあ目が見えないこの夫婦は「不幸」って認定されているって事?)

「そんな目が見えても自分は不幸だと思う人もおるし、目が見えなくても自分ができることで自分の人生を生きてれば、それは幸せなんじゃないかしら」
とかワシは言ってたんですが。

そこのお子さんも遺伝性の目の病気だったので、生まれた時から全盲だったそうなんですが。
今やそのお子さんはウィーンでクラッシックの演奏家として活躍なさっているんですよね。
なにをもって幸福だとか不幸だとか決めつけるのか。

その人がその人のままで生きて輝けばそれで十分なんじゃないですかね。
たとえ寝たきりだとしても。
その寝たりきりの人が生きているだけで誰かの心の支えだったり、愛を注ぐ対象だったりするんじゃないんですかね。
その人が生きる価値はきっとあるんですよ。

だから植松には「NO」と言いたいですね。

先述の車いすの女性の赤ちゃんだって。
一生足が動かないとしても、お母さんだって今までそうやって生きてきた。
そして優しい素敵な男性に出会って結婚して子供だって産んだじゃないですか。