山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

ラズベリー色のベレー帽

ラズベリー色のベレー帽

ああ、そうそう
僕はその時、時給5ドル10セントのバイト中だった
当時の上司はミスター・マックギー
彼は何度か僕に向かって「お前みたいな種類の人間が嫌いなんだよ」と言ったっけ
たしかに、僕はのんびりしてたから

何もしてないくせに何かしら忙しくしてたあの日、
すべてが一変する出来事が起きた
あの子を見たんだよ、そうあの子を
キミはそこのドアから出て行った

キミがかぶってたラズベリー色のベレー帽
古着屋で見つけたみたいなそんな感じ
ラズベリー色のベレー帽
暖かい日にはかぶらない感じのまだ真新しい
ラズベリー色のベレー帽
僕は恋に落ちたみたいだ

キミが作り出すその雰囲気
キミは勇気を持って僕に話しかけてきたね
僕がキミをさらう計画でも考えてたらどうするの?

そうだから、ごらん
今からキミをさらうよ

ほら見て
キミをバイクの後ろに乗せて
どこまでもどこまでも行くよ
ジョンソンじいさんの農場まで行こう

僕は言った
曇りの日ならそんなスイッチは入らないよ
でも雲とキミの何かが化学反応を起こしたらわからないな

彼女はまぶしすぎない
でも彼女が僕にキスした時にこう言った
エンジンのかけかたなら知っているわよ

納屋の屋根に当たる雨の音、なんて素敵なんだ
馬たちが「あんたたち誰?」という顔してこっちを見ている
夜の闇を切り裂く稲妻と雷に酔いしれて
キミは映画スターみたい

ねえ聞いて
一目惚れのその瞬間が人生最高とは限らないって人は言うよね
でも僕は言いたい
キミにまた出会えるチャンスがあったならきっとまた僕はキミと恋に落ちるよ

この恋を諦めるもんか
だってベイビー、僕が一番の恋の相手だからさ
キミはいつだって素敵な女の子だ