山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「おとうと」

テレビでやってましたんでたまたま見てみました>「おとうと」(1960年 市川崑監督)

…ゴッド宮川の手法「銀残し」とか岸恵子の美しさとか川口浩探検隊隊長のクズっぷりが話題になることが多い映画ですが。
ワシは「機能不全家族の物語」として爆笑しながら見ることが出来ました。

この「おとうと」なる人物(劇中では「碧郎 へきろう」という耽美的な名前になっている)の行動がいちいちあきらかに発達障害のソレであり、しかも有名作家として多忙に生きて家庭を顧みない、しかも愛情のピントが少しズレている幸田露伴自身も発達障害臭いんですな。
継母は宗教キチガイで自分のことしか気にしてないし。ひどい家庭です。

そこに責任感が強く頑張り屋さんの「げん」(岸恵子)がまだ少女の身でありながら、必死で家庭を切り回して、家庭が綻ばないように猛然と頑張るんですね。
それでもそんな気持ちが発達障害の父と弟に伝わるわけもなく。
苦労の連続なんですが。

なんともそこにおかしみがあるんですね。
悲惨な黒い笑いなはずなのに、この徹底した気持ちの通じなさが、こんなにも気持ちが通じない家族がいるものだというお話の一つ一つが、「もう笑うしかないでしょ」という筆致で語られるんですよ。
このひねくれた乾いた笑いとへんてこりんな趣味の悪い劇中音楽が相まって、消化不良を起こしそうな映画です。



特筆すべきは岸恵子の所作の汚さと食べ方の汚さです。
これだけ綺麗なのに滑舌は悪いし…一体どういう育ちの人なんだろう?と不思議な感慨にとらわれました…
それともコレは演出だったのかも…だとしたら意地が悪すぎるw