山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

バリバラを見る

不思議な番組を見ました。
EテレNHK教育)でやっている「バリバラ」という障害者バラエティー番組なのですが。
そこに登場してきたのが「切断ヴィーナス」と呼ばれている?自称なさっている??義足ユーザーのうら若いきれいなお嬢さんがたでした。

うら若いピチピチとした娘さんがたの弾けるようなきれいな肉体に、メカニカルだったり、生々しかったりする義足が装着されているんですな。
なんともその対比がエロチックで「美しい」とすら感じますね。
欠損してても美しい。
人間の体とはこうも強靭で美しいものなんですね。

コレを見てて思い出されるのはポール・マッカートニーと結婚してたヘザー・ミルズ。
根性がババイロだったみたいで、イギリスでは物凄いバッシングを受けつつの泥沼離婚だったようですが。
「若くてキレイなカラダに義足」というファッション写真を最初に提示したのは彼女だった気がします。

さて、その日本の「切断ヴィーナス」の皆さんは、もうちょっと倒錯した雰囲気込みの、アングラでキュートでPOPな印象でしたね。
その中で自身も義足ユーザーで、自分をモデルにして様々なインスタレーション作品を発表している女性作家さんがいらしてて。
その方が中心人物のようでした。
イラストレーターの女性も居たりして、その方の作品も凄くセンスが良くて作品としてのクオリティも高いので、見てて楽しかったですね(イラストレーターさんの作品は、ヘンリー・ダーガーの少女たちがおとなになった感じの絵柄だった)

実際の「切断ヴィーナス」の印象は「肉体とメカの融合」「自然物と人造物の対比」みたいな感じで。
「コレはコレでマニアックなファンがいそうだし、普通の人にもアピール出来るよなあ」と見てたのですが。
実はココでワシは「あれ??」と気がついてしまったのです。

そのアーティストの方は、生まれつき足の骨が欠損してて、自力で立つことが出来ない子供時代を過ごされたそうです。
で、少し大きくなってから足の切断手術を受けて、義足をつけるようになったそうなんですが(家では義足なしで膝立ちで歩いている感じで過ごしておられる コレは家の中ではかつらを脱ぐみたいなものかなあと考える)
この番組では、義足のことばっかり話題には出てくるのですが、彼女の左手もすごく特徴のある手でして。
誰も彼女の手のことには触れないんですな。
そこが凄く気になって。

「この場合、彼女の特徴は義足じゃなくてむしろ左手でしょうに!誰か左手に触れてあげてよ」とびっくりしてしまいました。
(番組が「切断ヴィーナス」だから、彼女だけにあらわれている左手の特徴に触れるわけにはいかないという趣旨だったんでしょうが)
右手は普通に5本の指がついた綺麗な手なんですが、左手がいわゆる「カニ手」なんですね。
指じゃなくて、腕の先端にV字型(二股)に別れた指の集合体?状のものがついておられます。
指輪とかもつけて綺麗に飾っておられるので、多分、触れてもいいんだと思うんですけど…
スタジオの皆さんは「そんなもん無かった」「見えないよ」「気づいてないよ」という態度で過ごされているんですね。それがすごく居心地が悪くてワシ(^_^;)<おばちゃんお節介だし黒いよ

誰か一言でも、「義足も素敵ですけど、その左手の指輪も素敵」と言えばいいのに(´・ω・`)とか思ってしまったことでしたよ。
このカニ手の人って、少し前まで最寄りの商店街でよくお見かけしてて。
男女で二人いらして、ふたりともカニの手で上手に自転車を運転なさってて。それが凄く印象的でしたね。

人体とはかように欠損して失われようともなお強く美しいのだ_という事を改めて感じたので、まあ、いい番組でした(左手に触れないのは不満でしたが)
ワシの右胸もごっそりと部分欠損しているわけですが、それでも「綺麗でしょ?」と堂々と出来る日が来るといいなあ。