山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

山姥が山から降りて街のオニババに会う

山姥は山から降りて弁護士事務所にだまし討のようにして連れて行かれました。
それは当然予想していたことでしたので、「なるほどそういう人よね。一言言ってくれれば別に抵抗しないのにね」(´・ω・`)
とちょっと寂しい気持ちになりました。

ところがソコで持たれた話し合いは話し合いとは言えないものでした。
向こうの母とオニババは
「そのお腹の子が本当にうちの子がこさえた子だとは限らない」
「どこかよその男の種じゃないんですか?」
「そんな手足も生えてないような(※ワシ注=生えてます)人間じゃないもの下ろしたって平気じゃないですか」
などと言い募ります。

山姥は二人が愛しあってこの3年間、愛を育んできたその様子を知っていましたので。
「そんな下品で残酷なことはおっしゃらないでください」と何度もお願いしました。

するとその母は自分がかつて子供を堕胎したことを
「じゃああなたはワタシが人殺しだとおっしゃるんですか?」
と山姥に怒鳴りました。
…事情はお察ししますが。その事実は消せないと思っております。
いつもこの人は「堕胎は体には影響があるけど心は平気だ」とおっしゃいます。

それは…
あなたの心は本当は血を流して泣いているんじゃないですか?
それをあえて無視しようとなさっているんじゃないですか?
あなたのその母である、そこで「どうや!」みたいな鼻の穴を広げて胸をそらしてふんぞりかえっているオニババに気に入られたくて。
認めて欲しくて。
そのオニババの価値観に沿いたい一心で、そうしなければあなたは息子と二人で生きていくことが出来なかったからこそ、自分の心が血を流しているのをこの30年間見て来なかったんじゃないですか?

ご自分の心にもう一度聞いてみてください。
「ワタシは幸せです!」とおっしゃいますが。
その堕胎事件以降のあなたの人生が辛く困難なものであったと、あなた先日おっしゃったじゃないですか。
とても、とてもかわいそうな人。
理解はします同情もしますけど尊敬はできません。残念ながら。
せめて下ろした子供のためにたまには手を合わせて上げてください。

生まれてくる子供はうちの家庭で育てます。
そしてその子が年頃になったら、生まれてきた経緯を詳しく教えたいと思います。
あなたのお父さんとお母さんは本当に愛しあって、あなたが出来たのだと。

「生むなんて非常識!」
「まだ人間じゃないものになにをおっしゃっているんですか?おろすのが当然です」
などなど。
血がつながった人たちからテーブルを叩きながら口汚く口をそろえて言われたことの数々をちゃんと伝えたいと思います。

それでも、あなたは祝福されて生まれてきたのだと。
その運命の循環を断ち切って、飛び出して逃げてきた新しい命なのだと、伝えたいと思います。
山姥は自分の命にかえても、この命を守ることを誓います。

成人した後でなら会わせるのもいいかも。
コレがホラー映画だったら。
「お母さん、なんで50年前に下ろしたの?」と言うんでしょうけど。
残念ながら現実では、
「めでたく成人しました」くらいで終わるんでしょうね。