山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

ボイス追悼 8

とまあ、なんだか恐ろしげな話を書いてしまいましたが…
普段のボイスは非常に静かな犬でして。
とにかく吠えない。お昼と夕方に放送される防災無線のメロディに合わせて遠吠えをするだけでした。
吠えないので、存在に気が付かずに玄関にずんずん来ちゃう人もいる。
さて、そーいう時、ボイスはどうしたのか?そのお話を今日は思い出します。

番犬としてのボイス

とにかく、図体がでかい(MAX体重26kg)犬なので。
ひたすら、「人間に攻撃性を出さないように」「人間が好きで可愛がられることが大好きな犬に」と心血を注いで育てたんですけどね。
実は、そこまで頑張る必要があったのかなかったのか…

ボイスは半分ハスキーでしたので、普段の行動は「まんまハスキー」のようでしたね。
ハスキーの性格とは、
見た目の恐ろしさとは打って変わって、とても陽気で明るい。むしろファンキーとすら呼べるほど。初対面の犬や人にもとてもフレンドリー。他人を恐れない。知らない場所でも平気
という感じでしょうか?
コレは北極圏の集落で飼われてて、いろんな場所に行っては初めての人とでも組んでそりを引くといった習性から来たものなんでしょうけどね。
橇犬としても勿論ですが、橇を轢かないときは狩猟犬として。家庭では子供たちの遊び相手として、赤ん坊の子守犬として飼われているようですので。
それって、ボイスそのものの性格だったんですよね。

で。そんなハスキーの弱点はつまり↓
ハスキーは番犬にはなりません
という事です。
知らない人が来ても基本、だまーって見ているだけ。
遊んでくれそうな人だったら、たとえ初対面の全然知らない人にでも「お?遊んでくれるの??」と甘えて歓迎しちゃうようなそんな性(さが)…(´д⊂)

一度なんか、全然知らないおじさんが玄関の中に入ってて「こんにちはー」と声をかけてきたので飛び上がるほど驚いたことがありました。
しかもそのおじさん、「ワタクシ、旅行中の古物商なんですがとても面白いものを持って参りました…社長、おられますか?」
なんて言うんですよ!!
怪しさ満点。

「え?ボイスは??こんな怪しい人をすんなりと通しちゃったの???」
と思って見たらボイスはそのおじさんの足元にきちんとオスワリしててパタパタと尻尾を振りながら、「撫でて〜」「遊んで〜」「次、かまって〜」と甘えてたんですよΣ(・∀・|||)ゲッ!!
番犬能力…果てしなく「ゼロ」に近い…そんな犬でしたよ。

ところがそんなある日。
真夏の夜の出来事。
ワシは一階の寝室にまだ幼児の弐号機と一緒にいて、「そろそろ寝ようかな」と暗い部屋でゴソゴソしながら、寝る前にベッド脇のTVで夜のニュースを見てたんですよ。
夫は仕事部屋にいて。
初号機はもう二階の自室で寝てたんですが。

突然、玄関で「うわっ!」という叫び声がして、ガタガタガッと音がして、ボイスが珍しく「ウォン!!」て吠えたんですよ。
「え?何??」(ボイスが吠える=とんでもなく異常事態が起きている法則)とベッドから飛び出して様子を見に行くと、夫も仕事部屋から飛び出して来てまして、
なんかキサン(貴様の博多弁)なんしよっとかー!?」と見知らぬおじいさんに怒鳴っているところでして。

えっ!?ナニナニ?? (^-^≡^-^)と事情がわからないワシ。
するとその見知らぬおじいさん、「この犬、いきなり噛んだばいー!」と逆切れ中。

うちの二軒下にある老夫婦の家に来た客人らしい?のですが。
酔ったイキオイで?一番上にある、変な家を見学しようと??夜も11時過ぎに勝手にドアを開けて入って来ようと???したらしいのです…ツマリソレッテハンザイ…
真夜中に玄関の呼び鈴も押さずにいきなりドアノブに手をかけて開けようとしたおじいさんを見てボイスも驚愕したらしく、慌ててその手を止めるために、そのドアノブにかけたそのおじいさんの手を噛んだらしいのです。

あら。
ボイスってやっぱりいい犬〜*・゚゚・*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:*・゚゚・*

そのおじいさんは「警察呼ぶぞ、( ゚Д゚)ゴルァ!!」と叫んだらブツブツ言いながら山道を下って行ったのでもうソレ以上追わなかったんですけどね。
その一件以来、ボイスの中になにか法則が出来たらしく…

声もかけず呼び鈴も鳴らさずに玄関を開けようとする人は噛んでOK」という事になったらしく…
その後、黙って家に入ってこようとする人を噛むようになりましたとさ┐(´д`)┌ヤレヤレ<ヤレヤレジャナイヨー( ;∀;)
(死ぬまでの14年間に実際に噛んだのは2名ぐらいでしたが)

なので玄関までのアプローチに金属の板とカナヅチを用意して、「ごの用の方は叩いてください」と看板を立てることになりましたとさ。「犬注意」の張り紙と一緒に