山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

ボイス追悼 5

とか言いながら。
結局、年老いて死にかけているボイスを置いて、ワシは二週間入院する事になるんですから…辛かったですねえ。
ボイスも寂しかったろうなあ(;_;)
去年の夏。退院してきたワシを見て嬉しそうにしてたボイスの姿を思い出すと、目から汁が…
でも、今日も書きます。
まだまだ尽きないエピソードがあるから。

成長後のボイス

ワシの出産がきっかけとなり、夫とボイスの関係もでき始めてきました。
散歩に行ってくれるようになると、ボイスも夫のことを認めるようになってきました(当時、初号機の事はボイスにとって「カーチャンのおまけ」ぐらいの認識だったと思う)

するとやっぱり勃発する「この家のボスが誰か決めようぜ」の抗争…(ーー;
その間、夫は何度ボイスに噛まれたことか…(ちなみにワシの事は死ぬまで一度もボイスは噛みませんでした)
男同士、戦いの世界で白黒をつけるのに、そんなに長い期間はかかりませんでしたけどね(勿論夫が勝つ。てか勝たねばなりません。「家で一番偉いのが犬」というのは犬にとってとても不幸なこと)

そんなある日。
毎日、赤ん坊を抱いては庭先のポストまで新聞をとりに行ってて。
小屋にいるボイスに「おはよー」と挨拶をしていたのですが。

赤ん坊(弐号機)が生後3ヶ月ほどたったある日。
それまではボンヤリと犬小屋から背伸びしながら出てきて、ワシに「スンスン」と遠慮がちに甘えてくるボイスの姿を見てたはずだったのにですね。
ある瞬間に、
( ゚д゚)ハッ!
とした表情になり、「コレは何?この生き物は何??やだ、触りたい!触ってみたい!!!」という「意志のある表情」になってですね(こんなに小さな月齢の赤ん坊の目に「意思が宿る瞬間」を見たのは初めてだったので感動しました)

「あ。まずい。弐号機がボイスの存在に気がついちゃった!」とワシは慌てて家の中に入りました。
すると弐号機はいつまでも首をひねってwボイスに眼の焦点を合わせて見つめておりましたよ。

またそれから数ヶ月たって。
弐号機がまだ寝ていたので、早朝。洗濯物を干そうと、洗濯カゴに洗濯物を入れて外の物干し台に干しに行っててですね。
干し終わったので、家の中に入り。
寝室をフト見やると…

弐号機の姿が無い…???

つい5分かそこいら前まで布団の中に居たのに(当時は畳に布団を敷いて寝ていた。赤ん坊がいる生活にベッドは危険なので)
布団は何故か今、もぬけの殻で。
工エエェェ(´д`)ェェエエ工 ワシのカワイイ綺麗な赤ん坊はどこっ!?どこなのっ!?
とビックリしてしまって。
アワアワしながらオタオタと廊下を右往左往し、家の中を探しますが何処にもいません(まだ階段は登れないので二階には行ってないはず)

「そんなにハイハイも出来るわけじゃないから近くに居るはず(神かくしでなければ)」
と思いつつ、「庭か?庭に出たのか??ワシの後を追って??」

と急いで玄関からサンダルをつっかけて玄関の外に出て、ボイスの小屋前を通り過ぎたら…
「なんかボイスの様子が変な気がする…」
と気がついたんですね。
我が家は犬小屋は玄関前においてありまして(ボイスがこうしないと寂しがってすすり泣いてウルサイ)
いつもならボイスは玄関から誰か出てくると、「背伸びしながら出て来て、ご機嫌伺いをする」筈なんですよ。

ソレを、今は何故かしない…という事はとても不自然なんですよ。

「え?なんで?」
と見るとボイスは小屋の奥で困惑した表情でワシを見ているんですね。
「ん??何???」と首を突っ込んで見てみると…

小屋の奥で丸くなって大きな身体を小さくまとめて横になっているボイスの上に得意満面の笑顔の赤ん坊がのしかかって、全身でボイスを味わっているところでしたΣ(゚д゚|||)
「うわー、なんでー」:(;゙゚'ω゚'):と思いつつも平静を装い(大声を上げたらボイスが興奮して赤ん坊を噛むかも?と思ったので)
「ボイス、赤ちゃんの世話をしてくれてたのね、ありがとー」と言いつつ赤ん坊を犬小屋から引きずり出すワシw

多分、ワシが洗濯かごを抱えて玄関から出るのを見てた赤ん坊が、せっせとハイハイで後追いしてたのですね。
で、玄関を出たところで常日頃から目をつけて「触りたい!」と渇望してたケダモノwが居たので。
これ幸い、思いっきり触っちゃおうー!!と赤ん坊はボイスに突進。
ボイスは今までカーチャンに抱っこされて虫みたいだった「にんげんのちっこいの」が突然自分でハイハイしながら迫ってきたので驚いて犬小屋に退避。
すると無慈悲な赤ん坊は⊂(^ω^)⊃ズンズンと犬小屋に侵攻。
ボイス、逃げ場もないままで犬小屋の奥で小さくなるが、赤ん坊、お構いなしに侵入しつづけてついにボイスの上に乗る→赤ん坊大勝利!

…という事のようですね(^_^;)
今までハイハイでの移動なんてまだ下手くそでろくに動けもしなかったくせに、この「ボイスに触りたい」という一心で数mの移動を成し遂げた弐号機w
やっぱり赤ん坊にもモチベーションは大事って事です。

ボイスは困惑しておりましたが、「弐号機ちゃんのお世話をしてくれてありがとう」とワシに褒められて。ボイスは「なるほど、チイサイニンゲンに優しくすればカーチャンにほめられるのか」と理解したようで。
最後までボイスは小さい子供が大好きで、赤ん坊にすごく優しい犬でした。