山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「愛と誠」

あのアナクロの極み。ブッサイクな時代錯誤の暑苦しい暴力と思い込みに彩られた自称「恋愛大河ドラマ」(梶原一騎原作)を三池崇史がいかように描くのか!?
興味津々だったので、見てきましたよーヽ(゚∀゚)ノ

もう、しょっぱなからカウンターパンチ。
1972年、学生運動賑やかな騒乱の新宿駅前にて、ギンギラ目玉ネオンサインの前で全身で歌い!踊り!!喧嘩しまくる妻夫木聡!(奇妙なカツラ装着姿)
しかもやられキャラの皆さんの奇天烈なシャツのプリントの数々!

「うおー、マイケル・ジャクソンのBADかはたまた香港ノワールか!?」
と嬉しくなってしまいます。
こんな生地のプリントシャツを一体どこから集めてきたんでしょう?不思議です。

なんせ映画が始まって数分でこの状態ですから、この先が思いやられます。
なんとこの映画は「昭和歌謡ミュージカル」でもあり。

ああ、そうだった、三池監督は「カタクリ家の幸福」でもミュージカルをやっちまってたんだった…と戦慄の記憶を蘇らせてしまうのでした…
なんせあの(自称)ミュージカル映画と来たら…忌野清志郎が詐欺師のクヒオ大佐として出てくるし、崖から落ちて谷川を流されて…という超アクションシーンをリカちゃん人形に演じさせてて(あまりのイケシャーシャーぶりに爆笑)
かなりの「問題作」だったんですけどね…

でも、この「愛と誠」は更に問題作!!

「君のためなら死ねる!」岩清水くんがただのキモイ髪型(真ん中分け)のストーカー男になっているし。
善良さと愛の化身、主人公に宗教的なまでの愛を捧げるという漫画史上最高にうそ臭いヒロインである早乙女愛が「無神経な天然ブルジョアお嬢様」に描かれてて最高!(つまり、昭和の頃、この漫画を読んで感じた読者側の違和感をそのまま抽出してみせる三池監督の豪腕!)

歌って踊ってこの歪んだ世界を生き生きと描写してみせるので思わず感動しちゃうじゃないか。

「悪の花園」とまで呼ばれた新宿歌舞伎町にあるワルの高校「花園実業高校」の表現が最高!
喧嘩映画、ヤクザ映画で稼いだ三池監督のセンスが遺憾なく発揮されております。

妻夫木聡があまり好きじゃない(というか、正確には魅力のありかがよくワカラナイ)ので見る前は「どーかなー?」と思ってましたが、よく動いてましたね。
歌い踊ってアクションシーンもあるこの映画をよく頑張って動きまわっておられましたよ。

しかし、この映画の見所はとことん三池監督のオモチャになって見せて、スリッパで頭をハツられるわ己の悪筆を惜しげもなく開陳させて見せてくれた斎藤工くんでしょう!
人気俳優としての将来をドブに捨てる勢いです(それくらいこのストーカー思い込み一直線男の岩清水くん役がキモい)

そして特筆すべきは「ガム子」(スケバン)の純情さ。
思わず、泣けるわぁ〜(´д⊂)
このブス臭い容貌がしまいには魅力的に見えてくる三池マジック!(三池監督は出演している俳優女優、すべてセクシーに美しく撮ってくれる才能の持ち主)

とにかく最初から最後まで爆笑につぐ爆笑の映画なのですが…
さすが平日昼間の上映…

「愛と誠」原作を真剣に読んでたプー(ノシ*`ω´*)ノシ☆バンバンとおぼしきおねえさまがたは…何故かドン引きなさってましたね…
三池監督らしいバッドテイストも満載で、ワシは楽しみましたよー。
爆笑につぐ爆笑の果てに、何故か感動しちゃうという。
非常に日本映画では稀な芸風であります。

この映画は、劇場で見たほうがいいよ!!と全力でワシはおすすめする次第であります!\(^o^)/