山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

ワシ、「進撃の巨人」を読む。

まずこの作品との最初の出会いはTVCMでした。
巨人が生きたままの人間を頭から「ぱくりん☆」と軽々と食べちゃう(ごく自然に饅頭でも食べるみたいに)という衝撃のコマが使われてて、「別冊少年マガジン、発売中ー!」みたいな明るいCMでしてw

「なんぞコレー!?」とビックリしたのが出会い。
「読んでみたいなー」と思ってたら、夫がレンタルコミックで借りてきてくれましたよ。
ふむふむ、面白くて今までのところ出ている全3巻、一気に読みました!
以下、その感想↓

とにかく絵がすごい。「描きたい!」という衝動だけで全部やっつけているようなスピード感と勢いがあふれる絵である。
これはもう、漫画のパンクですな。
正直、小学生が(あるいは頭がアレな人が)大学ノートに鉛筆で書きなぐった漫画のような不気味なパワーに満ちております。

絵はとにかく稚拙でハッキリ申し上げて「下手」であるが、小奇麗な昨今のイラスト風味のおちょぼ口漫画に慣れた目にはザリザリと視線がひっかかってこの上なく、ある意味、非常に小気味良い。

25年前の山本直樹森山塔?)風味の下手エロの雰囲気も漂っていてお好きな方にはタマラナイものがあるのではないでしょうか?
時として伊藤潤二風味になるのもご愛嬌。

アクションシーンにも無駄な線ばかりでちっとも動いてないのだが、この極端なパースと描線の多さにより、「筆者の熱だけは伝わる」という不思議な魅力が伴っているように感じます。
(特に第一巻半ばの主人公がクロスカウンターするシーンとかひっくり返るほどの衝撃)

残酷なメルヒェンのような、悪夢のような物語はミッドセンチュリーのショートショート風味。
「この話でどこまで物語をふくらませられるの??」と他人事ながら不安になるが、実は第二巻で新展開なのである(ビックリ)

この閉塞感に潰されそうな城壁によって守られた(気になっている)人間どもの哀れさ。
その中ですら、弱いものがさらに弱いものを叩くという構図も後々用意されている。

この「失われた20年」の中で苦しみもがき続け、数多くの自殺者を生み出したこの「今の日本」という地獄が産み出した傑作の予感。
それでも生きたい。輝きたいと若者は願い、現実と戦う。

是非とも、サム・ライミで映画化していただきたい。