山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

夏の夜の怪談

夕べ寝る前にテレビをつけたら怪談話の特集をやってて。
次女子が見たがるのでしばし一緒になって(セミのようにしがみつかれながら)見ていたのですが…

あんまり怖くなかったw
次女子が、「なかよしに載っている読者の投稿欄の怖い話もあんまり怖くないよ」とか言うし。
「ソレじゃ口の黒い女の人の話(ワシが娘ズを怖がらせるために創作した幽霊話)の方が怖いか?」と訊くと、
「アレの方が怖い!」と次女子。

誉められて嬉しいので、その話を今日は書きましょうかね♪
暗くなってから、家の電気を消して読んでね!(・∀・)

(弁天橋の霊)
うちの近所に、海の入り江をまたぐ大きな橋があります。橋の名は弁天橋。
今はコンクリート製ですが、昔は木造の橋だったそうで。
戦前の写真には、松島をつなぎながら海の入り江にかかった木造の、半月状の美しいアーチを描く橋が写ってます。
当時は観光船も出てて、伝馬船をこぐ船頭さんも居たそうです。

さて、その橋の袂に以前、名物の麺類を出すお店がありました。
この店の名物はその独特の和中折衷麺と「幽霊」だったのです。

ワシの友人の旦那さんが独身時代、友人とこの店に入った時のこと。
友人と二人連れなのにコップが3つ出てきたとか。
「先客がいた」と思ったのに、二度見したらもう居なかったとか。
そんな話が沢山ある店でした。

その店の前はT字路になってて、T字路の突き当たりは高さ120センチほどのコンクリート製防波堤になってます。
信号もついてて、突き当たりの防波堤には夜光塗料で「行き止まり」と書かれ、通行止めの標識も立っているのに、猛スピードでその壁に突っ込んで即死する事故が絶えませんでした。

「多分、お店に出る幽霊はその事故で死んだ人じゃないかな?」
と友人は言います。

…それじゃあの人は誰なんでしょう?

真夜中に橋を通りかかると、薄暗い街灯の下にいつも立っている女の人がいるんですけど。
白い着物を着て、長い髪をたらしてうつむいています。
最初は「誰かと逢い引き(古い)の待ち合わせかな?」と思っていたのですが。

よく見ると、真冬でも裸足で。
両手の爪が泥まみれで黒くなってます。
顔を覗き込むと黒々とした口が大きく開かれたまま…

「なんで黒い口?」と不思議に思っていたのですが。
ある時、地元のオバサンの証言で謎が解けました。

「あの橋は昔、人柱を埋めたのよ」