山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

OOPARTS 全曲レビュー 8

【総評】

まず最初に言いたいことは。
これは、非常に初心者にとっても、ピロウズの取り扱いに手慣れた筈のバスターズにとってさえも、なかなかに不親切なアルバムだ。と言うことです。

まず、エイベックス以降、「WUX3」や「PIED PIPER」でピロウズのPOPでROCKな魅力にとりつかれ、ガガーンと増えた新規ファンを、ドドドーーンと突き放すような内容ですよ?
「HAPPY BOVOUAC」の後継とも言うべき、「本格派オルタナROCK&POP」って感じです。
いや、世間で言う「オルタナ」ともひと味違う。
強いて表記するならば、

「<b>おるたな?</b>」
という雰囲気。

しかし、全体的に「HAPPY?」より曲が小粒&佳作。
「大傑作!」と自信を持って叫べるような曲が目白押しだった「HAPPY?」に比べるとコチラはかなり分が悪い気が…。

「なんか、変な曲ばっかり…カッコワルイ…」('A`)と、「わかりやすい格好良さ」を求めているお客さんが総出で逃げ出しかねない状況です。
かたや、熟練のバスターズに於いても。
「なんか、どっかで聴いた事のあるような曲ばっかり…」('A`)
と失望させること請け合いという状態。
危うし、ピロウズ!w

ところが。
このアルバムの不思議なところ。
繰り返し聴くウチになんか段々気持ち良くなって来るんですね。
このズンドコしたビートの果てに、気持ちの良いグルーヴが見えてきます。

この垢抜けしない、時代遅れなんだか時代の先取りなんだかよく判らない世界観の中に、自分のリアルの生活と似たものがあるような気がしてきます。
格好良くなりたいのになれない自分。
すいすいと身軽に踊って生きていたいのに、泥の中を這い回っている。
なんとなく疎外感を感じて生きているのなら尚更の事。

つまり、コレが「自分にとっての等身大のカッコイイ音楽」って事に気がつくんですね。
決してわかりやすくはない。
他に似たような音楽をやっているバンドとて世界中見渡しても殆ど居ないし。

でも、「他の人には判って貰えなくても結構!どーせコレが俺の道だ!!」みたいな腹の括り方が見える気がします。
時々後戻りしたり、突然グンと前に進んだり。
道無き道を歩いてきたバンドですもの。
振り返ってみて、誰一人、フォロワーが居なかったとしてもそれも自分で選んだ事だから、大丈夫。
よし、ワシも頑張ろうってね。