山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

松葉杖異聞

長女が長いこと松葉杖生活をしていたのですが、そんな中にも色々面白いことがあったようなので、その話を聞き書き
忘れないようにメモメモ。

・とにかく、雨が降ると大変。
いつもは歩いて通っている通学路を、雨が降ると傘が差せないので(松葉杖で両手がふさがっているし)バスに乗るのだが。
バス停で順番を待っていてもバスに乗れないで数台見送る事多し。
とにかくみんな、順番を守らない。
列に並んでいても松葉杖でオタオタしていたらどんどん追い抜かされて行って、バスに乗り損ねるらしい。

「あら、世間って冷たいのね」
と、言うと、「弱肉強食の世界だよー」と長女。
松葉杖の美少女にバスの順番すら譲らない。むしろ積極的に抜かして置いて行くって、福岡って結構都会砂漠なのね(´・ω・`)

・電車の中でもそれは同様で。
まず、中年サラリーマンは意地でも席を譲らない。シルバーシートに座り込んで無視を決め込むそうで(殺意が湧く話だな、おい)

むしろ若い人や女性が積極的に席を譲って親切にしてくれるんだそうで(そう言えば、ワシが妊娠中も積極的に親切にしてくれたのは、男子高校生と若いサラリーマン、それと女性全般だったな)

中年のおばちゃんに至っては自分の隣の席を確保しながら、
「あなたー!こっちいらっしゃい!!座れるわよーー!!!」
と車内で絶叫までして親切にして下さる方がいらっしゃって、我が娘は、
「恥ずかしくて消え入りそうだった…」
そうなんだが。

ワシは嬉しいなあ。
やっぱり世の情けを知るのは女性という生き物だわ!と心強くなるんだが。

・そんな中。
ある時、駅のホームを松葉杖で歩いていたら、見知らぬおばちゃんが、「はっ!!」とした顔で長女を見た__と思ったら、グーーと接近してきて、

「あなた、その足はどうしたの!?」
といきなり訊いてきたそうでw

「あの、クラスマッチでバスケットボール中に挫きまして…」
と答えると、
「まあっ!!大変ね!どれくらいそうしているの?」
と質問攻めにあったそうでw

ワシ、そのおばちゃんの気持ちが痛いほど判るわw
どうしてもね、「自分の子供」に引き当てて考えちゃうんですよ。
「ウチの子もこんな怪我をした時に、誰かに親切にして貰えたら」
と本能的に感じて、ついつい見知らぬ人にもお節介をしちゃうんですよ。
母親ってありがた迷惑な生き物です。