山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「アンリ・ベルドゥの生涯」

全くワシは果報者である。
ご親切な方の情報により、なんとピロウズの超初期未発表曲「アンリ・ベルドゥの生涯」を聴くことが出来たのだ。

この曲が存在することは知っていたが___随分以前にタイトルのみ、web上で目にしたことがあるのだ<最初は冗談かと思ってた。
だって「アンリ・ベルドゥ」ってチャップリンの映画「殺人狂時代」の主人公の名前だし<しかし、今にして思えば、チャップリンの映画「ライム・ライト」の登場人物「カリヴェロ」を、堂々タイトルとして掲げている曲がピロウズにはあるんだから、「アンリ・ベルドゥ」だってあったとしてもなんら問題がナッシング?

まあ、そんなこんなで、耳にしましたよ、メジャーデビュー前後の頃(1990年頃?)のピロウズの演奏。
するってえと、なんとまあ。
いつもワシがピロウズに関して、驚いてしまう部分なんですが__ピロウズって全然変わらないのね。
いや、見た目は今と随分変わってますが(特にさわおが若い<多分当時、22歳くらい?首が細くてまだ見た目が少年だもん。高校生みたい。真鍋代表は髪の毛が根本から立ってます)

___冗談はさておいて、なによりも演奏が巧い。巧いって言うと語弊があるな。テクニック偏重って言う雰囲気があって。
え?、バカテクでは無いですが、若い割に巧い。
上田ケンジのベースが素晴らしい。
真鍋代表の白いテレキャスターの音が素晴らしい。

そして何よりも、バンドのアンサンブルが素晴らしい。
今のピロウズの持っている、ガッチリと団子みたいに一つに固まって、それぞれの楽器が曲のオワリに向かってぐんぐんとドライヴして行く感覚__というのがワシがピロウズに対して最も「魅力的!」と感じている部分なんですが。
それをデビュー当時からちゃんと持っているんですね。
最近、その当時の演奏とか見てて(ほら、YouTubeのおかげでレア映像も普通に見られるようになってきたし)驚かされるのは、
「実はピロウズは、結成当初からこのドライヴ感、グルーヴ感をちゃんと持っていた」って部分ですね。

この「アンリ・ベルドゥの生涯」も地味な曲ですが(なんせ死刑囚のアンリ・ベルドゥに気持ちを寄せる歌だし)さわおのソングライティング能力って今と全然変わってないというか、最初から完成されていたんですね。
「不動にして不変の揺るぎない個性」
としか言いようのない、輝きがある事に感動しましたねえ。