山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

「Please, Mr.Lostman」

ナニが言いたいのか?と言うとですね、ワシは「ピロウズのシンプルでガッシリしたふてぶてしいギターロックが好物なんですよ」と。そこが言いたい。

「GOOD DREAMS」で「この曲、カッチョエエなあ」と感心したのが(日本ではこんな曲を作る人が他に居なかったので)、「フロンティアーズ」って曲だったんですよ。
シンプルな曲(しかも短い)なのに、構成が面白い。ツインギターがなんとも興奮する。
多分、自分たちの事を歌っているんであろう歌詞も面白い(<当時は良く判ってなかったが、この部分だけはスグに理解できた)

で、次に聴いた「Thank you, my Twilight」でも「come on, ghost」が大いに気に入ったんですね。
やっぱりシンプルな曲なんだけど、なんとも面白い。
「ペナルティライフ」では「ファントムペイン」が以下同文。

「コレが本流だな」と勝手に目星をつけてファンを続けていたんですが、ところがこうやって今になって第三期のCDをコンプリートしてみると、なんとこの「本流」って「つい最近開発したのもの」だったのねorz

それと、書き忘れてはイケナイのが、この「時系列遡り型コレクション」は「なかなかヨカッタ!」って事です。
ワシにとってこのやり方は大変、「合っていた」んですよ。

「今」と「あの頃」を同時に見渡せるという意味においてね。
「何故、今、この音になったのか?」がよーく判る流れでした。

そして最も嬉しい誤算だったのは、このアルバムコンプリートの果てに、「最後のご褒美」とでも言うべき素晴らしいアルバムが待っていた!という事実です。
つまり、ピロウズ第三期の出発点である、1997年1月に発表されたアルバム「Please, Mr.Lostman」です。
まさに、日本語ロックの一つの頂点です、この作品は。

全編を貫く、この、なんとも言えない「悲壮な覚悟」としか言い表せない空気。
これだったらこの後10年間は、この路線(内省系自己問答繰り返し感情爆発型泣きのロック)でやっていけそうなのに、あえてその道を選ばなかったピロウズ
ココに一番感動しましたね。
金鉱を掘り当てたのに、敢えて新しい模索とトライ&エラーを繰り返し続けた。
絶望する事をヤメタ。涙を振り払った。

最新作「MY FOOT」ではこの「シンプル&骨太」がアルバム全編に行き渡っていて、コンプリート終了した今になって改めて聴いては、「おぉ、ついにココまで来たか!」と妙な感慨に打たれてしまうのです。