山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

バカの萌芽

もう一つの「フリクリ」の功績は、「ピロウズに新境地を開拓させた」って事です。
それは、ピロウズ自身の「ロックバンドとしての可能性」を押し広げたと言う意味です。

本来、鶴巻監督から依頼された曲は、「『one life』みたいなしっとり系のバラードで」
というものだったらしいのですが、
「それじゃ面白くないだろう」
と勝手に自分で好きなように作曲して、出来上がったものが「Ride on shooting star」だったと言う。

本来ならば、完全に、シンプルなバンドサウンドのギターロックバンドとしてシフトチェンジした
アルバム『Please, Mr.Lostman』以降のピロウズの得意技は「おセンチロック」だったんですよ。
↑こんな書き方したら熱狂的なファンから怒られそうだが、でもワシ、本気でこう思っているので、撤回なんかせん!

感傷的で陰鬱な歌詞世界、曇った灰色の空や夕暮れどきの茜色の空が似合うような
メランコリックなメロディのロック。
それはイギリスのマンチェスターあたりの出身のバンドともよく似ているし、
ピロウズのメンバー中2名が北海道の出身という事を考えれば、こうなる事は至極、
納得が行くような気がするのですよ<九州人の偏見?

ところがその「割りとシリアスにおセンチロック」だったピロウズにですよ?
あの「Ride on shooting star」という、思春期の男の子特有の無茶苦茶な感じとか、
「ロックは楽しいぞー」「バカになると面白いぞー」「楽しんじゃえー!」みたいな楽曲を
書かせた!(というか、勝手に書いちゃった?)という部分には、思わず感謝してしまうのです。

勿論、その萌芽はピロウズ自身、以前から持っていましたとも。
1995年のツアー時に上映された短編映画「Something Else」のエンディング。
ここにちゃんと「バカの萌芽」が記録されているんですね。
タンバリンを持ったシンちゃん(ドラム)が踊りながら「サノバビィーッチ!!」って
歌っている(叫んでいる?)スタジオセッションの様子の映像なんですが。

山中さわおとギターの真鍋さんが二人でアコギを抱えて、踊りながらギターをかき鳴らして
いるのですが、自分でやっている事がおかしくてたまらないらしく、笑い過ぎて床に
つんのめって転んだりしているという変な映像。
まさに「音楽で遊んでいる」という素の状態なんですがね。
それを実際の楽曲に導入させた_という部分では、ファンは感謝してもしきれないでしょう?