山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

タイニー・ボート 三番勝負 第二回

しかし、「こんな毒にも薬にもならん音楽」にもひっかかりポイントはあった。
「貴女は特別で、他の誰とも違う。不思議だね出会う事が決まってたみたいに」という部分。
なかなか魅力的なメロディじゃないか。
歌唱力に問題があって、ちょっと咄嗟に気がつかなんだけど。
キャッチーで綺麗なメロディである。

でもなんとも「ロック?」とナゾが深まるばかりの繊細な演奏と、このさわおの中途半端なオールバック。
言っちゃ悪いが、気味が悪い弱々しいヴォーカル。
それに加えてPV中、時々鋭く光るストーカー気味なさわおの眼光とか、
中途半端なイタダケナイアニメーション(線画)とか。
どうにもこうにも誉めるポイントが少なくて、「ムムム」と絶句してしまう物件でもあったのだ。

「本当にコレで100万枚イケルって思った?何を根拠に??」
とかえってワシの中ではナゾが深まってしまった。
「なんでだろうなあ?」と首を傾げるばかり。全然理屈が判らないのだ。

しかし、意外な資料でこの歌の謎がアッサリ解けたのだった。
ソレがコレ↓

《「タイニー・ボート」アコースティック・バージョン 短編映画「Something Else」収録
1995年11月発表》

コレは山中さわおが監督したコンサート会場とかで限定上映された短編映画である。
その中に「タイニー・ボート」のスタジオライブが入っていたのだ。
コレはシングルの「タイニー・ボート」が1996年の1月に発売された事を考えると、
つまり、シングルの録音前後に録られたモノとおぼしい。
(PV撮影の様子がインサートされている所を見ると、ひょっとしてシングル録音後?)

アコースティックギター2本+パーカッションの構成で演奏されているので、多分、
このアンプラグド状態が「原曲」に一番近い形なのではないだろうか?
なんとウカツなワシはこの映像で初めて、この曲の素晴らしさを知ったのだった。

スタジオの中で床に座り込んで演奏するメンバー二人とイスに座って演奏するさわおの姿を
ただ淡々と撮影しているだけなのだが、なんともこのスタジオ内を不思議なグルーヴ感が渦を巻いていた。

シングルの方では、
「燕?が、飛んでたー。足ー音が聞こえたー。夢じゃなかったー」という部分が、
「ツ・ヴァ?めぇ?、がトンでタぁ?。あシィ?音がキィこえタぁー、
ゆーンめぇじゃナカぁったぁ?」と独特のあのさわお節で歌われていたのだ。
「ナルホド!」とワシは激しく膝を叩いた。