山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

ヘインズ監督への偏愛

というワケで、アンジーのフニャフニャした喋り方に衝撃を受けたのでした。
「ジギー・スターダスト」で一番衝撃だったのは、この喋り方と、ボウイにメイクの事を批難され(「口紅の色がピンクなのがダメ」出し)ちょっと傷つく様子を見せるがそれを一瞬後にはカバーして見せる(誤魔化して?)所とか…
なんとも感慨が深かった。
夫のプロデューサーとしてその活動を見守り、援助して、ある意味育ててきたとも言える妻が、純粋な少女のように傷つくこの一瞬といったらもう!
凡百の脚本家が書けない一瞬を、二人の関係が「庇護する」「される」だけではない側面が、実は妻は夫への愛ゆえに自分の全てを捧げているであろう(世間のソレとは随分姿が違っていても)という面が見えたのが興味深かった。

それをちゃんと孫引き(?)して、「ヴェルヴェット・ゴールドマイン」の脚本に活かしたトッド・ヘインズも凄いよなあ!と改めて思う訳で。

しかも、この「ジギー・スターダスト」でその次に衝撃だったのは、ボウイ自身が、楽屋にて
「僕の母親は僕を妊娠中に円盤を見たらしい」と話す部分だ。
「なーーるっ!!」
ココで思わず膝をたたくワシ。

トッド・ヘインズの映画「ヴェルヴェット?」ではオスカー・ワイルドからデビッド・ボウイに至る、「同性愛の表現者」を「宇宙からの落とし子」と位置づけているのだ。
(実際、映画の冒頭にUFOが現れる)
つまり、「ヴェルヴェット?」の全テーマはこの「ジギー・スターダスト」に集約されているんだな。
「凄いな、このたった数秒間、二つのセリフであの映画を作ったのか!!」と更に感嘆。
今更ながらヘインズの凄さに舌を巻く。

でもって、「ヘインズ監督の最近の仕事って何よ?」と調べてみたら、ソニック・ユースのミュージック・ビデオ(「Corporate Ghost」)だった。
やっぱ、「彼は現役」だったのね(嬉)
最新作は「I'm not There」
出演はクリスチャン・ベールケイト・ブランシェット、シャーロット・ゲインズブールだって!!うを、見てえー!
海外での評価に比べて日本では本当にその評価が(「不当だ!」と思えるほど)低い監督だが、この機会に是非とも、「ヴェルヴェット?」とは言わん。
せめて「エデンより彼方に」でも観てちょ。