山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

11月は逢魔が月 その7

一応、11月1日の昼間にワシは実家に、「かくかくしかじかで、こんな荷物と手紙が義弟から突然送られてきた。義弟はもう死んでいるかも知れないので、明日か明後日にはウチに来てもらって子供たちを見てもらうような事になるかもしれないので覚悟しておいて」と予告電話を入れておいたのだが、「入れておいてヨカッタ」と思いつつ、眠りについた。

ダンナは明け方の二時半頃帰ってきて、「義弟には会えなかった」と言った。
半分寝ぼけながら、「あれ?警察の人にはドアを開けて貰わなかったの?」と言うと、
「警察の人から、『カギを壊すも壊さないも、お兄さんの心ひとつですよ』って言われた」とダンナ、言う。
ので、ちょっと呆れて、
「あのねえ、ソレは警察の人は『開けたいから了解を呉れ』っていう意味で言った言葉だと思うよ。なんで開けなかったの?」と言うと、
「もう今日はつかれた。寝る」とダンナはベッドに入ってきて、ゴソゴソと「疲れた疲れた」と言いつつ眠りに落ちた。

・11月2日
ダンナに、「今日も義弟の家に行くんでしょう?」と言うと、「今日はドアを開けようと思うんだけど、一つ、気になる事があって…」と言う。
「何?」と訊くと、
「あの差し出し人不明の送られてきたカギ…アレはもしかしたら弟が送ってきたものかもしれない」と言うではないか。

「あ、そうか」と自分のウッカリ(カギの事は実はもう殆ど忘れかけていた)に気がついて、「カギはどうしたっけ?」と探すと相変わらずダイニングテーブルの片隅に乗せられたままになっていた(ゴミの日に出さなくてヨカッタ!)
送られてきた荷物に入っていた手紙の封筒と照合すると、まさに「同じ封筒」であった(普通の白封筒だったけど。中袋が全く同じ水色で紙質も同じだった)

「でも、この同封されてた数字は何??」と困惑するワシ(義弟の部屋の番号とは全然違う番号だったので)
「何かは判らないけど、とりあえず、今日はコレを持って家に入ろうと思う」とダンナが言う。

「そうか、今日、死体を発見するつもりなんだ」とワシは理解したがしかし、ダンナが一人で義弟の死体と対面するという事態だけは避けたいと思い、
「絶対一人で家に入っちゃダメよ。警察かNさんに立ち合ってもらいなさい」と言ったが、こんな大事な事、話しているのに、ダンナはやっぱり聞いちゃ居なかったorz

「あー夕べは疲れた」とか朝食を食べながら呑ん気にぼやいている。