山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

11月は逢魔が月 その3

同封されていた義弟からの手紙の内容は、大体、以下の通り↓
「●●氏へ
私はもうすぐ居なくなりますので、荷物を送ります。直線定規は箱に入りきれなかったので、今月中に取りに来てください。 ●●(義弟の名前)」

コレを読んで真っ先に思ったのは、「あ、義弟は死ぬつもりなんだ」という事。
慌てて送り状を見ると、「10月29日」の発送になっていて、「11月1日必着」と書かれていた。
「コレに書かれている『今月中』って10月の事、11月の事??」と思わず混乱する。
しかし、とりあえず「自殺予告状」と読めるので、慌ててダンナに、「電話!電話して!!」と言うが、ダンナは、
「さっきかけたけど、『この電話はお客様の都合により…』っていうアナウンスが流れるだけで通じない。もしかしたら料金を払ってなくて、電話を止められたんじゃないかな?」と言う。

「コレは流石にヤバイ」と思い至り、
「誰か、近所に住んでいる親戚の人に、家に様子を見に行って貰いなさい!!」とダンナに命令するワシ。
するとダンナは、
「いや、弟だって別に死ぬとは限らないし、この手紙では多分、仕事が変わるから住む場所を替えるだけで、そんな深刻な話しじゃないかもしれないじゃん」と呑ん気な事を言う。
「いや、コレはもう一刻を争う事態よ!現に荷物が送られたのは3日も前の事だし、もう家の中で死んでいるかも知れないわ!」と思わず力を込めて言うと、
「またミカボが最悪の事態を想定して大げさな事を言っているー」とウンザリの表情でワシを見返すダンナorz

「そんな気軽に物が頼めるような親戚は居ないよお」と明らかに義弟が無事かどうかを確認するのを渋るダンナ。
「そうだ、Nさんが居るじゃん!あの人に頼もう!!」とワシが提案すると、
「そんな、親戚でもない知り合いのオジサンなのに、迷惑だよ、そんなの…」とダンナ、また渋る。

「なーに言ってんのよ!ココは気取っている場合じゃない。人の生死がかかっている問題だから、今すぐ電話しなさいっ!!アンタが電話出来ないのなら、ワシが今すぐ電話するから、アドレス帳をよこしな!!!」と手を突き出したら、ようようダンナはシブシブ受話器を取り、Nさんに電話をかけたのだった。