山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

11月は逢魔が月 その2

カギがこうやって送られてきたものの、同封コピーの数字のナゾは解けないし、わざわざ消印がつかないように工作しているって事は、「送り主は自分が誰なのか知られたくない」って事だから、「あえて詮索する必要も無いか」と考えて、カギは放置してたワケである。

実際は、あまりに古いカギなので、「なんだコレは、このカギに合うドアを開けて入って来いってメッセージか?やだよ、こんな古いカギなんかで開けたドアの向こうには、絶対ロクでもナイものしかないって予感がするジャンか!」とかなり気味が悪く感じたし(それは丁度、他人が切った爪を大事に貯め込んだガラスの瓶でもイキナリ手渡されたような感触<そんな事、された事ナイけど)、そしてもっと厳密に言うと、
「もしかしたらダンナが浮気してて、その密会現場のカギだったりして…」とかも考えていたのだった。

しかしまあ、ダンナは全然浮気している気配は無いし、「んー、何だろうね?頭がオカシイ人の仕業なんだろうけど、頭がオカシイ人の行動の理由なんか考えてもワカランから、知らん顔してようっと」と考えて、そのままテーブルの上で送られてきたカギは放置コースであったワケだ。
その後、すっかり送られてきたカギの事も忘れつつあった。

・11月1日。
今度はイキナリ荷物が届けられた。
差し出し人を見るとダンナの弟(以下、義弟と記す)

ダンナが顔色を変えて、
「なんかワケのワカラン荷物が送られてきた!変な手紙が入っているし」と明らかに狼狽えている。
まあ、もともと義弟が関わる話しはその100%がロクでもナイ事なんだし(一度として「良い話し」を聞いた事すらない)、手紙はオロカ年賀状も出さないメールも使えない義弟からの荷物だなんて、ソレだけでも事の異常さが判るけど、
「今回はどんなロクでもない事に巻き込まれたのかしら?」とか思いながら、
「手紙、何だって?」と聞くと、「コレ」とダンナが差し出した手紙を見てひっくり返ってしまった。

「●●氏へ」(●●=ダンナの戸籍上の名前。誰もこの名前で呼ばない事で有名<親しい人は_ワシも含めて全員ダンナの事をあだ名で呼んでいるので)という書き出しからして「尋常じゃない」「空前絶後感」がありありである。
「この『●●氏』って書き方、まるで電波パーマ@元貴花田みたいじゃん?」と思わず半笑いになってダンナに言ってしまう。