山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

インファナル・アフェア

「はー、そんな事が出来るんですかね。出来るものならやりたいが…なんたって墓参りに行く度にあのゴーツクばりな住職の顔を見るのがいけすかないし」と言うと獣医、更にこう言う。
「坊主のくせに勉強不足で、金儲け主義。頭の中は寺の経営に精一杯のクセしてエラソー風吹かせまくって、檀家にタカリ続けるそんな坊主は行く末が決まっとるんだわ!」と。
「はあ?地獄にでも落ちるですかね?」とワシが聞くと、獣医は涼しい顔して更に続ける。
「あのな、お布施を仏教の教えを広める為に使わなくて、自分の欲を満足させる為に使った坊主にはソレ専用の地獄がちゃーんと用意されているのだ、安心せい!」わははは!

「なんだ、そうだったんだ、坊主専用地獄があるのか…そりゃあよかった。あの坊主の行き先がもうとうに決まってて!」とワシが笑いながら言うと、獣医更に話す。
「その地獄は凄いぞ。オレら普通の人間がだな、その地獄のニオイを一瞬でも嗅いだだけで、そのあまりの臭さに瞬時にして消え去って死んでしまうというくらいの恐ろしい地獄だ。その地獄の名は『阿鼻地獄』と言う。オレら普通の人間には行こうと思っても行けないくらいの最低の地獄だ。ちゃんと準備はされとる、安心せい!」

あはは、獣医の先生、ワシを元気づけてくれている。ありがたいなあ。
すると奥さんまでが出てきて、
「あのね、本来お葬式とか四十九日なんてのは仏さんの為にやるものじゃないの。残された家族の為にやるものなの。だから法名(戒名)だってつける必要は必ずしも無い訳だし、文字数が多いから偉いとかそんなの全然無いの。ウチのお寺は浄土真宗だけど、宗派にこだわりなく、お寺は代えても大丈夫だと思うよ。そんな坊さんとつき合うのは気重だわ、縁切っちゃいなさいよもう!」とおっしゃる。
そうだよなあ。あの坊主、ナニがムカツクってねめつけるような眼差しでワシら家族を見て、
「お母様の四十九日や葬儀はちゃんとなさったんですかねえ?」だって。
目の前にある位牌には法名が、ちゃんと書かれておろうもんが、キサマ老眼がソコまでヒドイんか、ボケナス!!
「60万円払ってつけても貰ったたった四文字の法名ですわ、ホホホホ」と言ってやりたかった。プーン。

家に帰って目の前にある四角い箱で調べたら、「阿鼻地獄」=「無間地獄」の事だった。
インファナル・アフェア」かー。へーー。