山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

小学校の研究発表会にて

せちたろーが「朝からある小学校の研究発表会を見に来てー」とウルサイので、幼稚園からの帰り道に立ち寄る。
五年生がボランティアで障害者施設巡りをした時のリポートを、パネルにしてグループごとに発表するというモノだった。

「五年生にもなれば、ソコソコ大したモノが出来るんだなあ」と感心。
デジカメで撮った写真を引き伸ばして、施設での作業の様子や働く人たちの様子を見せ、渾身のレポートを各自発表中。
「おお!」と思わず感動する。
せちたろーの発表は二人で組んで作ったレポートのせいかツッコミ不足で「?」となる。
「なんでパネルに作業所の事とは関係のない猫の絵が描いてあるのだ!?」とか思って見てしまう。
ワシは我が子に厳しすぎるか?

その後、発表は滞り無くオワリ、各委員会活動の「今年の抱負発表」へと移る。
ココでもせちたろー、登場。
彼女は長年の念願叶ってようやく「飼育委員会」に入れたのだ。

「学校中のみんなが動物たちと触れあえて、小さな動物を好きだと思えるような環境を作っていきたいです。」とせちたろー、立派に抱負を発表。
家でパンツ一丁でゴロゴロごろ寝して、ダラダラ過ごしている女には見えないねえ。
学校でのせちたろーはあまりにもチャントしているので、親は戸惑ってしまう。

さて、発表中に知り合いの子がウロウロしているのに気がついた。
せちたろーより一つ年下。4年生の女の子。

彼女はワシの大学の時、同じ下宿にいた女性の娘さんである。
自閉症(高機能障害)であるが、普通に学校に通って普通クラスで過ごしている。
マイクの前で発表の感想を言うというコーナーで、下級生もみんなマイクの前に並んでいるので、自分も並んで発表したいらしい。
担任の先生が必死で止めて、「後で発表の場を作ってアゲルから」と言い聞かせている。
でも、彼女はみんなと同じ列に並んで、自分もマイクで感想を話したくて仕方ないらしく、先生の手を振りきっては、マイクの前の列に並ぼうとする。

「話させてやればいいジャン!」とワシは思うが、彼女は結局、みんなと同じコーナーでは話させて貰えなかった。
彼女はやはり不満らしく、何となく納得しかねる様子で座って居たが、最後の「閉会の言葉」を言う役を仰せつかった。
マイクの前に立つ、彼女。

「皆さんの発表は素晴らしかったですね!コレで会を終了いたします!!」
児童の割れんばかりの拍手が体育館を包んだ。