山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

神は細部(ディテール)に宿る

ダンナが買ってきたDVD、『(ザ)ロード・オブザ・リング(ス)』をチビチビ見ている。
字幕も随分、改善されている。
字幕監修に原作本の翻訳者を入れたのは正解。
イヤ、劇場公開時にこそ、そうするべきであった。

DVDで見ると劇場での、「スクリーンからはみ出さんばかりの圧倒的な迫力」には全然及ばないが、目玉が画面の細部にまで行き届くので、観ていて楽しい。
台詞や音楽、効果音など細かいところまで実に良くできている映画だ。
原作が好きであればあるほど、この映画の評価が高くなる気がする。

やはり、ピージャク(ピーター・ジャクソン監督)の本気の入れようは、メイキングを観ていても十分にワカル。
思わず画面を見ながら、「ルーカスに今の台詞を聞かせタレ!!」とツッコミを入れてしまう。
スター・ウォーズ」だって、この「ロード?」同様、「人類共通の神話」になれたかもしれないシリーズだったのに・・・
あの「エピソード2」は目を覆うばかりだった(遠い目)
やはり、「本気が足りない映画」は「資源の無駄」である。

この「原作を忠実に表現したい」という異様なまでの情熱。
ソレを維持し続けてゆく、監督自身の「(自分の作品として)表現したくてタマラナイ気持ち」という全く相反する(ように見える)ふたつの力のせめぎ合い、競い合いが、幸せな形で具現化した映画であるのだなあ。と改めて感じた。

ソレと改めて本編を観て、「登場人物それぞれが、それぞれの人生に置いて重大な決断を下す映画である」という事に気が付く。

☆以下、ネタバレ満載

・ビルボは(永遠の命すら約束してくれる、「愛しい恋人」とも言えるべき)大事な指輪を敢えて手放す(年老いて死する運命を受け入れる)
・アルェン姫は愛のために、エルフとしての永遠の生命を投げ捨て、限りある生を生きる人間として生きる事を決める。
アラゴルンはその宿命から逃げ続けていたのに、同胞の死を前にして「人間の王」としての道へ戻ろうと決意する。
・サムは友情のために自分の身をフロドに捧げる。
レゴラスギムリは(本来の目的である)指輪をフロドに託し、(全くの派生的な事である)仲間の救出に向かう。

テーマは「愛のための自己犠牲とはナニか?」である。
そのテーマを最も体現しているのが、実はサム(庭師)なのではないか?
見返りを求めない純粋な自己犠牲。
やはり、とても美しい物語である。
若い人に観て欲しい。