山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

どけどけ犬・トリュフォー礼賛

涼しい朝、と言うか、むしろ寒いくらい。
羊模様(「アリーmyラブ」で主人公が着ているパジャマと同柄←アメリカの通販商品)の掛け布団にくるまって寝ていた。
目が覚めてせちたろーを見ると、綿毛布にくるまっている。
「もう、朝は寒いもんね」
と、見ると、ダンナと子鬼はパンツ一丁でヘソ出して眠っている。
個人差もあるってコト。

ボイスと散歩に出ると、いつもの「放し飼い散歩犬」がいる。
コイツは軽トラックを運転する飼い主の後ろを「ばうばう」吠えながらついて行くのだ。
思わず脇道にそれて、ワシとボイスは道を譲る。
その間もこの犬は牙をむいてズーッと「俺の道だ俺の道だどけどけどけどけ」と、吠えながら走っている。
無茶苦茶せわしない犬だ。そんなにヨワイんか、お前さんは?

しばらく歩くと、ハルナ嬢登場。
ボイちゃん、嬉しさのあまり、「はうぅう、がふふふぅ」と言いながら飛び跳ねる。
「アンタがその図体でそんな声出して飛び跳ねたらコワイからダメ!」と言い聞かせてお座りさせる。
しかし、ハルナ嬢は「ヤル気満々」
立ち上がって前足を広げ、指まで全部広げて「ぱー」の手になっているし、「かかってこーい!!」のポーズでボイスに挑む。
ボイス、誘われるとついつい追いかけたくなる。
立ち話する飼い主二人の周囲をバタバタと追いかけっこする、二匹。

午前中、時間があいたので「アメリカの夜」(フランソワ・トリュフォー監督作)を観る。
大人になって改めて観るトリュフォー作品は実に素晴らしい!
もう、ドキドキして一瞬たりとも目が離せない。
人生の機微っつーかオンナ心っつーか、
「ナンデそこまで知っているのだ!?」と何度も画面に向かってつぶやいてしまう。
ソレくらい、ニンゲン及び恋愛に対する洞察に優れている。
感動しつつ美味しいお茶を戴くようにシミジミと味わいながら鑑賞する。
マサにコレは「鑑賞」という態度にふさわしい映画。
映画への人間への愛が全編に満ち溢れている。

若い頃はよくわからなかったが中年になって観ると実に実にこのヒトの作る映画はスゴイ&面白い。
華氏451」も子供の頃に観た時は、ナンダカコワイ不気味な映画だったが、大人になって観てみるとどうしてどうして、スタイリッシュで、なおかつシミジミとメランコリックで美しい詩情溢れるSF映画だし。
「年を取るごとに理解できる価値」というものもあるのだ。
やはり、年を取るのは悪くない。楽しい。