山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

セミの観察(夏休みっぽいな)

いつものように、早朝散歩。
ボイスと一緒に山影の道を歩いていると、フト、野菊の枝先に「ナニか白い花びらのようなモノ」がぶら下がっているのが見えた。
真っ白で「ベロ(舌)のカタチをした長さ5?6cmのモノ」が4枚。
「ナンだ?」と近づいて見ると、ナンと、「羽化したばかりのセミ」であった。
すぐ横には「たった今、脱ぎ捨てたばかりの空蝉(うつせみ)」も、「しがみついたカタチのママ」で野菊の枝に留まっている。

「おぉ!コレはせちたろーに見せてやらねば」
母は枝ごと手折って、羽化したばかりの純白のセミを散歩の共にする。
セミはまだモゾモゾとうごめいていて、枝の先を目指して上っていく。
途中で空蝉は落としてしまったが、セミ本体は無事、持って帰るコトが出来た。
ラジオ体操から帰ってきているせちたろーに「おみやげー」と言って見せる。

「うっわー!綺麗!!」とせちたろーは大喜び。
「せっかくだからスケッチしておきなさい」と野菊の枝ごと花瓶に挿して渡す。
せちたろー、せっせとスケッチ開始。

初めて間近で羽化したばかりのセミを見たが、真っ白で弱々しくて、とても綺麗だ。
コレがあの「猛々しい鳴き声」で日がな一日鳴いている虫と同一人物(?)であるとは思えないくらい。
全体は雪のように白く、羽の縁の外側が一筋、ペパーミントグリーンに染まっている。
面白いモノで、分単位、秒単位で色が刻々と変化する。
変化が始まるとセミは死んだように固まり、ピクリとも動かなくなる。
何度も「死んだ?」と、顔を間近に近づけて確認したくなるくらいに全然動かない。

1500枚の作業を続けながら、事務所にセミを置いて親子で観察。
2時間もたつと「セミらしい色&カタチ」になってくる。
分厚く真っ白で弱々しい羽は、硬質で透明の力強い羽に変わった。
「変わった後の姿」は「アブラゼミ」であった。
せちたろー、せっせと「変化した後の姿」もスケッチ。

事務所はクーラーが利いているので、セミにとっては居心地がワルイらしく、動きが鈍い。
「コレは外に出してやらないと、羽ばたけないよ」と、ダンナがセミを花瓶ごとウッドデッキの上に置いてやる。
体が温まったらセミの動きも活発になって、あっという間に飛んで行ってしまった。

アブラゼミは鳴き声が油で揚げ物をするときの音に似ているから、アブラゼミって言うんだよ」とダンナが言った。