山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

きょうは感情が失禁してます

今、気が付いたが、今週で「先代猫・ブリちゃん」が死んで丁度、丸一年だ。

半年間の闘病生活。
死病と分かっていながら介護する日々の悲しさ。
痩せた背中に手を添えて、ひなたぼっこさせたこと。
最後は一日中ウツラウツラと眠り続けていたっけ。

今、思い出しても涙が出てくる。

死ぬときに、怖がって鳴いたブリ。
抱きしめて「怖くないよ。母ちゃんがついているよ」と声を掛けたら、鳴きやんで気持ちよさそうに安心して目を閉じた。
そして、やがて静かに三回長い息を吐いて、腕の中で死んでいったブリ。

雨の中、ダンナと慟哭の猫埋め。
エンゼルス・トランペットの根本。
せちたろーが「作るから」と言って、その後本当に作ったブリのための墓標。
一緒に埋めた庭の花たち。
ブリが使っていた、ワシ作の食器。
ソレに描いてある、呉須のブルーが鮮やかな魚の絵。

海からやって来た猫、ブリ。
砂浜で飢えて貝殻を舐めていた子猫。
やせっぽちの人なつっこい白い猫。
せちたろーが見つけてきた。
「小さい猫ちゃんと知り合いになっちゃった。ついて来ちゃうの」と言った。
自分から車に乗ってきて、助手席の上で「お家に連れて帰ってニャア!」と鳴いた猫。

ブリジット・バルドーのそっくりさん。
白く長い豪華な被毛。黒いアイラインに縁取られた、中心が緑がかった美しい黄色の目。
短い鼻、短い足。長い胴に長い尻尾。
指の隙間まで飾り毛が付いていて、古代ペルシャ王国の猫の面影。
素晴らしく豪華で綺麗な大きい猫。

人なつっこくて、散歩にもついてきていた。
歩いて出かけると「置いていかないで!」と鳴きながら何処までもついてくる猫。

ブリを失った哀しみに耐えきれずにこの日記を書き始めた。
でも、こうやってブリのことを改めて日記に書くのはきょうが初めて。
ヒドイ飼い主だ。ゴメンね。
でもまだ、ブリとのことには距離を持って考えられない。
書きながら、どうしても涙が出てくる。

ブリが生きていた頃に比べれば、ボイスも随分落ち着いた。
ブリのオカゲで、今でも「猫好きの犬」だ。
せちたろーも時々はブリのことを思いだしては泣いている。
子鬼もブリの写真を見ながら、「にゃんこー」と言う。
ブリがハイハイを教えてくれたようなもの。
ブリに触りたい一心で、ハイハイも上手になったし。

クルちゃんがいてくれるけど、ブリがいないという事実はやはり淋しい。
出来れば、もう一度抱きしめたい。ブリ。