山麓日記帳

全ては消えゆく、雨の中の涙のように

↓下の日記に補足↓

「ダンサー・インザ・ダーク」はせちたろーと二人で見に行ったのだ。
なんせ、小学三年生。「退屈するかな?」と思っていたが、真剣に観てた。
ワシも、最初は冷静に見ていたのダガ、セルマが工場でプレス機のビートに合わせて歌い踊るシーンで不覚にも泣く。
誰しも人生の中ではこんな経験が一度はあるのではナイか?ワシはあるぞ。

義母にガン宣告をされた時。「あと二年」と医者に面と向かって言われた時。
なのに、親類がみんな冷たくて誰も手を差し伸べてくれなかった時。
お金と時間と体力と全てを振り絞って見送った時。
看病の間中、長い時間をかけてお別れをしていた時。
病室の廊下で死を待っているときに「お見舞い?早く良くなるといいですね」と隣の見舞客に言われた時。

ソレを自分の人生として引き受けるために、その日一日をしのぐために、ヒトはこんな思いもするのだ!
ビョークの演技も素晴らしく、もう「セルマは実在する」としか思えないくらいのリアリティがあった。
「映画にはもう二度と出ない。女優はもうヤラナイ」なんてモッタイナイ!!
是非、もっとやってもらいたい。この「憑依能力」は奇跡だ。

きっと、母からこんな愛を貰った息子は「ココロに鋼を持つオトコ」になるんだろう。
少なくとも自分を哀れんだり、慰撫されたがる甘えんぼチャンにはナラナイ(聞いてるか、@田次郎!)
そんな気になる映画だった。
21世紀に登場した「暗黒ミュージカル」
映画表現の進歩と観客の成長により、ミュージカルのリアリティは今やこんなカタチでしかあり得ない。姿は変わり果てた。しかし、大納得の映画。

ラスト、泣きながらせちたろーを見ると、せちたろーも泣いていた。
せちたろーは「残酷な話」と言った。
ワシも「メガネ一つでココまで泣かされるとは思ってもいなかったよ」と言った。

希望が駆けめぐるラスト。
しかし、子供は「未来の家に住むモノ」なので、親は夢見ることは許されない。
ソレは容赦なく寸断される。
息子への愛に殉教する現代の聖女の物語。

ラース・フォン・トリアーは本気で賞を狙ったんだ。と、言うことがよく分かった。
その野心がチョット鼻について、CinemaScapeでのワシの評価は☆4つ。

ダンナと子鬼の子守を交代。
ダンナは「アヴァロン」(押井守監督)を観る。
出て来るところを待ってたら、大あくびをしながら登場。
「もう、眠くて気を失うかと思った」って。
ファンでもツライか。